花文字

平成29年 春季彼岸会「和顔愛語」

仏教には、和顔愛語という言葉があります。仏説無量寿経のなかにある言葉です。なごやかな笑顔と相手を思いやるあたたかな話し方、やさしい言葉で人に接すれば、他人の心をおだやかにできることを教えて下さる大切な言葉です。

 私たちは日常生活を送るなか、多くの方々と出会うわけですが、もし私が嫌な表情や不機嫌そうな言葉で相手に接したなら、その嫌な気持ちは間違いなく相手に伝わります。人はいかりにはいかりをもって応酬してしまいます。それでは、良き人間関係を築くことなどできるはずがありませんし、嫌な気分で1日を過ごさなくてはなりません。

 昔と比べると随分と物が豊かになったと言われますが、はたして心の豊かさはどうでしょうか。悲しいことに、人間の欲望というものには限界がありません。

 私たちは毎日の食事でたくさんの命をいただいています。しかし、お腹が満たされると、今度は味の善し悪しを気にするようになってしまいます。

 同じおかずが続くとつい文句がでてくる、おかずが少ないといって愚痴を言ってしまう。そこに感謝の心はありません。物の豊かさと反比例するように心は貧しくなっていくような気がします。

 そんな時代だからこそ、和顔愛語で人に接することがとても大事なことです。ほんの些細なことかもしれませんが、なごやかな笑顔とやさしい言葉は、相手を心豊かにし、幸せな気持ちにしてくれます。間違いなく、豊かな人間関係を築くことができます。

  • 平成29年 春季彼岸会「和顔愛語」
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