平成25年 秋季彼岸会「往生浄土」
秋のお彼岸の花文字は、往生浄土です。この言葉は浄土真宗のみ教えの根本をあらわすとても大切な言葉です。
しかしながら大変残念なことに、世間では「大往生を遂げる」とか「雪で車が立往生した」というように、この往生という言葉は単に人が死ぬことや困った状態、物事に行き詰まってどうしようもなくなった状態を指す言葉として使用されているようです。
しかし、本来の往生の意味は「往き生まれる」の字の通り、私が娑婆世界からお浄土へ、阿弥陀如来さまのおはたらきによって生まれさせていただき、仏とならせていただくことをあらわす言葉です。
私が今住んでいるこの世界、迷いの世界であるこちらの岸(此岸)から、真実の世界であるお浄土、向こうの岸(彼岸)へと阿弥陀如来さまがつくってくださった大きな願いの船にのせていただいて渡らせていただくのです。
そして、その彼の岸、お浄土への道は、私のいのち終わるときにはじまるのではありません。今、阿弥陀如来さまの「必ず救う、われにまかせよ」というよび声が南無阿弥陀仏のお念仏となってはたらいていてくださることに気づかせていただくその時に、私のこの人生は、お浄土へと向かう確かなもの、無常の命を生きながらも、阿弥陀如来さまに導かれながら、一歩一歩間違いなくお浄土へと歩ませていただける輝かしい人生となります。