花文字

平成24年 春季彼岸会「報恩謝徳」

 日々、『おかげさま』『ありがとう』の報恩謝徳の生活を送ることができたら、こんな幸福は無いと思います。

 インドと中国に挟まれた、九州ぐらいの面積の国ブータン王国は、国民の96.7%が「幸福」と回答したそうです(2005年ブータン政府国勢調査)。ブータン王国では、私たちが目標としてきた国民総生産(GNP)で示されるような金銭的・物質的な豊かさを追い求めるのではなく、国民総幸福量(GNH)の精神的・心理的幸福を国是とした政策を取っていることで注目を集めています。

 経済成長率が高く、所得が多く、物量潤沢なことが本当に幸せなのか。医療や生活環境の高度な先進国で、人生に悩む人が多いのはなぜなのか。人との絆が薄く、家族愛が感じられず、孤立化し自死へと追い込まれていく現在の社会構造。GNP肥大を追い求めることの幻想に、ようやく私たちは気づきはじめています。

 ブータン王国は、人々の習慣など生活のいたるところに仏教が根付いている仏教国であり、怒り・不満・嫉妬の心から、寛容・満足・慈愛に満ちた国を目指しているといわれています。

 日本も仏教国といわれ、つい半世紀前までは、「おかげさまです」「もったいないことです」「お互いさま」「ありがたいことでございます」といった、麗しい言葉が、生活の中に溶け込んでいました。

 阿弥陀如来、親鸞聖人、そして代々教えを伝えてくださったご先祖への報恩謝徳を要とし基礎に据えて、前門さまが「念仏の道は『おかげさま』と生かされる道であり、『ありがとう』と生きぬく道であります」(下記参照)とお示しくださいました日暮しをさせてもらいましょう。

昭和48年(1973)、大谷光照前門さま(当時ご門主)は、親鸞聖人御誕生800年・立教開宗750年慶讃法要御満座のご消息にて、「このような時代に生きる現代人の不安と混迷は、聖人のお勧めくださった念仏の道によって、はじめて乗り越えることができるものと信じます。念仏の道は『おかげさま』と生かされる道であり、『ありがとう』と生きぬく道であります」とお示しになりました。

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