花文字

令和8年「秋季彼岸会」

 今回の花文字は「功徳(くどく)荘厳(しょうごん)」です。『仏説(ぶっせつ)阿弥陀(あみだ)経(きょう)』に説かれる「成就如(じょうじゅにょ)是(ぜ)・功徳(くどく)荘厳(しょうごん)」というお言葉から選びました。

 「功徳」とは、阿弥陀さまが「あらゆるいのちをお浄土に生まれさせる」と願い、その願いを成し遂げてくださったお徳のことです。また「荘厳」とは、美しく飾り、ととのえるという意味があります。見ることのできない阿弥陀さまの願いが、私たちにも分かるように、さまざまな姿となってあらわれてくださることを「功徳荘厳」といいます。

 阿弥陀さまのお心を味わうご縁は、身近なところにもあります。その一つがお焼香です。

 お焼香は、芳(かぐわ)しいお香の香りを仏さまにお供えするものです。お香を香炉にくべると、その香りは静かに辺りへ広がり、自分のところまで届いていることを感じることができます。その芳しい香りに清らかなお浄土を想い、自然と身に染みていく姿に、阿弥陀さまのお心が分け隔てなくあらゆるいのちに向けられ、届いていると示されます。

 私たちは、生きている中で、思い通りにならないことや、大切な人との別れなど、避けることのできないさまざまな苦しみに出遇います。誰もが、それぞれ見えない苦悩を抱えながら、この人生を歩んでいるのではないでしょうか。

 阿弥陀さまは、あらゆるいのちをお浄土に生まれさせ、仏とならせると願われました。その願いは見ることができません。しかし、お香の香りが分け隔てなく広がり、私たちのもとへ届くように、阿弥陀さまも「南無阿弥陀仏」という言葉の仏さまとなって、この私に確かに届いてくださっています。

 「功徳荘厳」とは、阿弥陀さまが成し遂げられた救いのお徳が、「南無阿弥陀仏」となってあらゆるいのちにはたらいていることを表しています。お香の香りのように、私の口から称(とな)えられる「南無阿弥陀仏」には、決して見捨てることのない阿弥陀さまのお心が満ちています。お彼岸に際して、亡き方をご縁として手を合わせる中で、阿弥陀さまのお心を支えに、ともにお念仏申す人生を歩ませていただきましょう。

バックナンバーを見る